廃墓
ゴミムシ……
くずおれた墓石を抱え裏返すエイッと
いきなり住みかを暴かれるわ
イシムカデダンゴムシ……
ぞろぞろと這いでてくる
どのようにこの場を棲み分けているのやら
そのほか多く夥しい名も知らない
彼や彼女やその子や一統や
ここにこの墓がたまたま
ひどく遠いずっとはるか昔のこと
いまはないご当家の主が建立してこのかた
この暗黒の地中を世界とし
トビムシ……
などなどと棒きれで突っついたりして
じっともう目を離せないのだ
ササラダニワラジムシ……
(10・8・6)